スタッドレスタイヤの寿命は?交換時期の見分け方・長持ちのコツを紹介
スタッドレスタイヤには寿命があります。寿命を超えたタイヤを使用すると、凍結した路面や雪道を安全に走れず、思わぬ事故につながるリスクも高まるため危険です。
「もう何年も同じスタッドレスタイヤを使っているが、大丈夫だろうか」「そもそも寿命は何年なのだろう」など、スタッドレスタイヤの寿命について、疑問を抱いている方も多いでしょう。
この記事では、スタッドレスタイヤの寿命の目安を解説するとともに、交換時期の見分け方や長持ちさせる方法を解説します。安全に冬道を走るための参考にしてください。
スタッドレスタイヤの寿命の目安
スタッドレスタイヤの寿命の目安は、一般的に3〜5年とされています。走行距離にすると10,000〜15,000kmほどです。 これらはあくまでも目安であり、タイヤの種類や使用条件、保管状況などによって大きく変動します。
スタッドレスタイヤの寿命が3〜5年とされている主な理由は、ゴムの劣化によるものです。タイヤはゴム製品です。年数が経過するとともに、徐々に硬化する性質があります。
スタッドレスタイヤには、夏タイヤよりも柔らかいゴムが使用されています。これは凹凸のある路面を捉えやすくするためです。グリップ力を高めることで、凍った路面や雪道でも安全に走行できます。年数が経ち、ゴムが硬くなったスタッドレスタイヤは、グリップ力が低下しています。スリップをしやすく、非常に危険です。
スタッドレスタイヤの寿命は、走行の安全に大きな影響を与えます。本来の性能を発揮できないばかりか、重大な事故を引き起こすリスクも高まるため、寿命を超えたスタッドレスタイヤは、速やかに交換することをおすすめします。
スタッドレスタイヤの交換時期の見分け方
スタッドレスタイヤの交換時期がいつなのか、わからない方も多いでしょう。スタッドレスタイヤの交換時期は以下の方法で見分けられます。
- 溝の深さを確認する
- 見た目で確認する
それぞれの見分け方から、スタッドレスタイヤの交換時期かどうかを判断しましょう。
溝の深さを確認する
スタッドレスタイヤの交換時期は、タイヤの溝の深さで見分けられます。
スタッドレスタイヤの溝の深さは、「プラットホーム」で確認してください。プラットホームとは、スタッドレスタイヤの溝にある突起のことで、交換時期を知らせるサインのひとつです。
新しいタイヤの場合、プラットホームはタイヤの溝の中にあるため見えません。タイヤが摩耗し、溝が浅くなるにつれて、プラットホームが徐々にあらわれます。タイヤが50%摩耗すると、プラットホームは他の部分と同じ高さになります。これは寿命が訪れたサインであるため、交換を検討しましょう。
プラットホームは、タイヤ1本につき4ヶ所あります。1ヶ所でも露出していると、本来の性能を発揮できないため、必ずすべてのプラットホームを確認してください。
都道府県によっては、スタッドレスタイヤの摩耗に関する規制を設けています。規制に違反した場合、道路交通法違反として罰金が科せられる可能性があるため、十分に注意してください。
見た目で確認する
スタッドレスタイヤの交換時期は、見た目でも確認できます。
たとえば、タイヤの接地面や側面にひび割れや傷が見られる場合は、交換時期である可能性が高いです。細かいひび割れ程度であれば、継続して使用可能です。しかし、複数のひび割れがつながっていたり、深い傷があったりする場合には注意しなければなりません。ひび割れや傷がタイヤの内部にまで達していると、パンクやバーストにつながる恐れがあります。
ひび割れや傷の有無は目視で確認できますが、内部に達しているかどうかを判断するためには、専門的な知識が必要です。自分で判断せず、専門家に見てもらうことをおすすめします。
偏摩耗が生じているスタッドレスタイヤも、交換が必要です。偏摩耗とは、タイヤの一部だけが異常に摩耗する現象のことです。偏摩耗が進行すると、タイヤのグリップ力が低下し、スリップしやすくなります。安全な走行ができない可能性が高いため、交換を検討しましょう。
雪が積もると、タイヤの表面が見えにくくなり、ひび割れや傷の把握が難しくなります。タイヤの確認は、雪が降る前に行いましょう。
スタッドレスタイヤを長持ちさせる方法
スタッドレスタイヤは、時間の経過とともに劣化していくものです。正しい使用方法や保管方法を守らなければ、さらに寿命を縮めることとなります。ここでは、スタッドレスタイヤを長持ちさせる方法を5つ紹介します。長持ちさせるだけでなく、安全性の確保にもつながるため、ぜひ実践してください。
空気圧調整
定期的にタイヤの空気圧を調整することは、スタッドレスタイヤを長持ちさせる基本です。タイヤの空気圧が適正値より低い状態で走行を続けた場合、タイヤの両肩部分に過度な負荷がかかります。偏摩耗が生じ、タイヤの寿命を縮めてしまいます。反対に、空気圧が高すぎる場合も、グリップ力の低下やバーストを招くため注意してください。
タイヤの空気は自然に抜けてしまうため、定期的な調整が必須です。空気圧の適正値は車種によって異なります。適正値は、運転席のドア付近や給油口などに貼ってあるタイヤ空気圧シールで確認できます。必ず適正値を基準にして調整してください。
スタッドレスタイヤの寿命を延ばすためにも、月に1回以上の空気圧調整がおすすめです。長距離走行や高速道路を走行する前にも確認しておくと安心です。
夏に使用しない
夏に使用しないことも、スタッドレスタイヤの寿命を延ばすポイントです。スタッドレスタイヤは、凍結した路面や雪道などの走行に適したタイヤです。乾燥した夏の路面での走行には適していません。
ゴムは気温が下がると硬化し、気温が上がると軟化します。夏タイヤよりも柔らかいゴムが使用されているスタッドレスタイヤは、路面温度が高くなる夏に使用すると、必要以上に柔らかくなり、劣化が早まります。タイヤのたわみやすさから、安定性や操作性も低下するため危険です。
路面凍結や積雪の心配がなくなったら、できるだけ早めに夏タイヤへ交換しましょう。
オフシーズンの適切な保管
オフシーズンは適切に保管することも、長持ちさせる方法のひとつです。ゴムは紫外線や熱の影響を受けて劣化するため、オフシーズンは風通しのよい屋内で保管しましょう。やむを得ず屋外で保管する場合は、日陰に置いたり、日光や雨水を遮るタイヤカバーを使用したりして、劣化を軽減する工夫をしてください。
タイヤを保管する際には、置き方にも注意が必要です。ホイールを付けたまま保管する場合は平積み、ホイールを外して保管する場合は縦置きがおすすめです。タイヤラックを使用すると、省スペースで保管できます。自宅に適切な保管場所がない場合は、タイヤ保管サービスなどの利用も検討すると良いでしょう。
定期的なタイヤローテーション
スタッドレスタイヤを装着する際には、定期的にタイヤをローテーションすることもおすすめです。
タイヤは走行することで、徐々に摩耗します。摩耗するスピードは、タイヤの装着位置によって異なります。タイヤは後輪よりも前輪に負荷が集中するため、摩耗のスピードも前輪の方が早いのが一般的です。定期的にタイヤをローテーションすることで、一部のタイヤのみが摩耗するのを防げます。
タイヤには、回転方向の指定がないタイヤと指定があるタイヤがあります。回転方向の指定がないタイヤは、左右前後を入れ替えても問題ありません。一方、回転方向の指定があるタイヤは、前後の入れ替えは可能ですが、左右の入れ替えはできません。回転方向の指定の有無や、ローテーション方法がわからない場合は、カーディーラーやタイヤ販売店などに相談してください。
タイヤに優しい運転
スタッドレスタイヤを長持ちさせるためには、日頃から優しい運転を心がけましょう。
タイヤは路面との摩擦によって、少しずつ摩耗しています。急発進や急加速、急ブレーキなどは、タイヤに過度な負荷をかける要因です。激しい運転をすればするほど、必要以上に摩擦力は大きくなり、スタッドレスタイヤの寿命が縮まります。
適正なスピードで走行したり、車間距離を十分にとったりなど、余裕を持った運転を心がけると、過度な負荷負担をかけずにすみ、タイヤは長持ちします。優しい運転は、スタッドレスタイヤの寿命を延ばすだけでなく、燃費向上や安全で快適なドライブにもつながるため、日頃から心がけるようにしましょう。
スタッドレスタイヤの点検時期
スタッドレスタイヤの点検は、シーズン前だけでなく、シーズン中も定期的に行うのが理想です。
まずは、夏タイヤからスタッドレスタイヤに履き替える前に、必ず点検をしてください。溝の深さやひび割れの状態を確認し、交換が必要かどうかを判断します。スタッドレスタイヤへの履き替えは、雪が降り出す1ヶ月前が目安です。シーズン直前は交換作業の予約がとれない場合もあるため、早めの点検・交換がおすすめです。
シーズン中は、走行中に異常を感じた場合だけでなく、月に1回程度のこまめな点検を行ってください。定期的な確認によって、異常をいち早く見つけることができ、安全な走行を確保できます。
まとめ
スタッドレスタイヤの寿命は3〜5年であるものの、走行距離や保管状況などで大きく変動します。寿命の年数にかかわらず、定期的な点検を行い、交換時期を見極めることが重要です。空気圧の調整や定期的なタイヤローテーションなど、長持ちさせる方法も実践してみてください。
スタッドレスタイヤの寿命が訪れた場合は、カーディーラーやカー用品店、ガソリンスタンドなどに相談し、なるべく早く新しいタイヤと交換しましょう。
執筆年月日:2024年11月
※内容は2024年11月時点の情報です。法律や制度は改正する場合があります。