パソコンの動作が遅い・重い│原因の調べ方や対処法について解説
仕事やプライベートでパソコンを利用する人にとって、操作や反応が遅い、起動に時間がかかるなど、パソコンの動作が遅いことはストレスの原因となるでしょう。しかし、定期的に対策を行えば、パソコンを長期間使用する場合も、快適な動作環境の維持が可能です。
この記事ではパソコンが重くなる原因や、自分で手軽にできる対策を解説します。
パソコンが重くなる原因
パソコンが重くなる原因は、大きく分けてハードウェア、ソフトウェア、インターネットの3種類となります。解決策を検討するために、まずはそれぞれの原因についてチェックしていきましょう。
ハードウェアの原因
ハードディスク(HDD)・CPU・メモリなど、パソコンの性能を左右する部品が、容量不足などになるとパソコンが重くなります。また、ごみやほこりがたまるとパソコンに熱がこもるため、動作に問題が発生します。
【ハードディスク(HDD)のスペック不足や故障】
パソコンのデータが保存されるハードディスク(HDD)は、20%ほどの空き容量が必要です。写真・動画・アプリケーションなどの保存データが増えると、少しずつ空き容量が不足して、パソコンやアプリの起動に時間がかかる原因になるでしょう。
また、ハードディスク(HDD)内でデータの保存先がバラバラになる「フラグメンテーション」という現象が起こると、データの読み書きが遅くなります。
【CPU・メモリのスペックや空き容量の不足】
CPUは、操作やデータ処理を行う装置のことです。パソコンの頭脳と呼ばれており、マウスを動かしてマウスカーソルを操作する処理や、Excelの計算処理はCPUが行います。CPUに負荷がかかると処理速度が落ちてアプリの動作が遅くなり、計算などの処理に時間がかかります。
メモリは、データを一時的に記憶する場所のことです。作業する机の広さで例えられますが、メモリの容量が多いとそれだけ広い机で作業ができるイメージとなり、同時に多くのプログラムを実行できます。メモリの空き容量が不足するとファイルやアプリを開けない、パソコンがフリーズするなどのトラブルが発生します。
【ごみやほこりによる冷却性能の低下】
パソコンなどの電子機器は使用中に熱が発生するため、ごみやほこりがたまると、熱がこもりやすくなります。パソコン内部の温度が上昇すると、さまざまな問題が発生します。
- パソコンの動作が遅くなる
- パソコン内の部品の寿命が短くなる
- 突然電源が切れる
- 冷却ファンがフル回転してうるさい
冷却ファンの稼働により、電力消費が増加し、バッテリー容量が低下することも問題です。また、デスクトップパソコンよりノートパソコンの方が冷却性能が低いため注意が必要です。
ソフトウェアの原因
ソフトウェアには、パソコンにあまり負荷がかからないものと、負荷が大きくかかるものがあります。ソフトウェアの負荷が原因でパソコンが重くなっていないか、各種ソフトウェアの使用状況を確認しましょう。
【使用アプリによる負荷】
アプリの種類によっては、使用するだけでパソコンに負荷が大きくかかる場合もあります。例えば、パソコンで動画を再生・編集したり、ゲームをプレイしたりする場合です。また、同時に複数のアプリを使用する場合もパソコンに負荷がかかり、動作が不安定になります。
また、パソコンメーカーがあらかじめインストールしているアプリや、MicrosoftのクラウドストレージサービスのOneDriveなど、バックグラウンドで常時稼働しているアプリも動作が遅れる原因となります。しばらく使う予定がなければ、アプリのアンインストールを検討してもいいかもしれません。
【セキュリティ対策ソフトによる負荷】
セキュリティ対策ソフトは、ウイルスからパソコンを守るため常に稼働しています。特に、ウイルススキャンを実施している間は、パソコンに大きく負荷がかかり、システム全体の処理が遅延します。
最近のセキュリティ対策ソフトは、パソコンだけでなくスマートフォンにもインストールできるよう軽量化されているものの、パソコンの性能が悪かったり、メンテナンスが不足したりすると、パソコンが重くなるかもしれません。
【スタートアップアプリによる負荷】
スタートアップアプリとは、パソコン起動後にすぐに起動するアプリのことです。アプリを手動で起動する手間が省けるため便利な機能ですが、たくさん設定してしまうと、パソコン起動時にCPUとメモリに負荷がかかり、起動完了まで時間がかかります。
パソコン購入後から初期設定のままの場合、不要なアプリも起動する設定のままになっているかもしれません。
【ウイルスの感染】
パソコンがウイルスに感染すると、パソコン内部のデータを勝手に外部に送信したり、不正なソフトウェアをインストールしたり、さまざまな被害を及ぼします。CPUやメモリやハードディスクを圧迫するため、急にパソコンが重くなった、ブラウザなどアプリの動作が遅くなった、などの症状が発生するかもしれません。
インターネットの原因
ハードウェアとソフトウェアだけでなく、インターネット接続が原因でパソコンが重くなる場合もあります。通信が正常に行われているか、通信速度に問題がないかを確認しましょう。
【Windows Update】
Windowsのパソコンに入っているWindows Updateは、セキュリティの強化、バグの修正を行ってくれるソフトウェアです。パソコンがインターネットにつながっていれば定期的に更新されるため、セキュリティについて意識する必要はありませんが、更新中はパソコンが重くなります。
更新が滞った場合、パソコンのセキュリティに問題が発生する可能性があり、処理が遅くなるかもしれません。
【インターネット回線速度の問題】
インターネットの回線速度が遅いと、以下のような問題点が発生します。
- ページの読み込みに時間がかかる
- 動画のストリーミングが途切れたり、低画質になったりする
- 大容量ファイルのダウンロードに時間がかかる
マンションの場合、複数のパソコンなどでインターネット回線を使用すると、パソコンの処理速度が低下します。
【Wi-Fiが遅い】
Wi-Fiが遅いと、インターネット回線速度が遅いときと同様の問題点が発生するだけでなく、パソコンのインターネット接続が不安定になります。Wi-Fiが遅くなる原因は主に以下の3点です。
- Wi-Fiの性能が低い
- 複数のパソコンを接続している
- Wi-Fiとパソコンの距離が遠い
家具や家の壁にWi-Fiが挟まれると、速度が遅くなったり接続が切れたりします。
※Windowsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標または登録商標です。
※Microsoft OneDriveは米国マイクロソフトコーポレーションの米国および、その他の国における商標または登録商標です。
※Wi-Fiは、Wi-Fi Allianceの商標または登録商標です。
パソコンの動作を改善するための対策例
パソコンの動作を改善するための解決策は意外とたくさんあります。パソコンの買い替え、メモリの増築、Wi-Fiの買い替えなど、ハードウェアを購入することで解決することもできますが、ここではお金を使わずにソフトウェアの原因・インターネットの原因を解決する方法を紹介します。
パソコンの再起動
一番簡単な解決方法は、パソコンを再起動することです。再起動はアプリを終了してシステムを再読み込みするため、不要なアプリ・システムをリセットしてくれます。再起動ではなくシャットダウンを選んでしまうと、一部のプログラムが終了されず休止状態のままとなり、パソコンの負荷が軽くならないため気をつけましょう。
なお、ファイルの保存中やソフトウェアのアップデート中に再起動を行うと、データが保存されないため注意してください。
アップデート(Update)を実施する
ウイルスやシステムエラーからパソコンを守るために、Windows Updateを定期的に更新しましょう。最新状態であれば、セキュリティが強化され、安心してパソコンを使用できます。仕事の休憩時間など、他のアプリを使用していない時間帯にWindows Updateを更新するのがおすすめです。
また、最終更新日をときどき確認し、期間が開いていたら手動で更新しましょう。定期的に更新されない場合は、ネットワーク接続の設定に問題があるかもしれません。
定期的にデフラグを実施
デフラグを実施すると、ハードディスク(HDD)内でバラバラになったデータを最適化できます。デフラグはデフラグメンテーションの略称で、実施するとデータを連続した領域に保存し直すことが可能です。定期的に行うことで、ファイルの読み書きにかかる時間を短縮できます。
パソコンを仕事に使う人は1ヶ月に1回、プライベートで使う人は2~3ヶ月に1回程度、デフラグの実施をおすすめします。
不要ファイル・キャッシュの削除
パソコンを長期間使用すると不要なファイル・キャッシュが溜まり、ハードディスク(HDD)の空き容量が減少します。Windowsのクリーンアップ機能などを活用し、不要ファイル・キャッシュを削除しましょう。ファイルを手動で削除する場合は、古い写真・動画データなどを確認するのがおすすめです。
キャッシュとは、インターネット上の情報を一時的に保存する機能のことです。キャッシュが残っていると、以前表示したページの再読み込みが早くなりますが、ハードディスク(HDD)の容量を圧迫するため、定期的な削除をおすすめします。キャッシュを削除しても、パソコンの動作に影響はありません。
スタートアッププログラムの管理
パソコンの起動に時間がかかる場合は、スタートアップアプリを削除しましょう。パソコンの初期設定では、パソコンメーカーがあらかじめインストールしているアプリが含まれていることがあります。使用しない場合はスタートアッププログラムから削除しても問題ありません。
ただし、セキュリティ対策ソフトのような、パソコンを安全に動作させるために必要なアプリは、スタートアップアプリから削除しないよう気をつけましょう。
セキュリティ対策ソフトの最適化
セキュリティ対策ソフトは常に稼働しているため、パソコンが重くなる場合は以下のような対策が必要です。
- スキャン対象ファイルを限定する
- スキャンする時間帯をパソコンを使わない時間に変更する
- スキャンログを削除する
- より軽量なセキュリティソフトに変更する
Windows Update同様に、仕事の休憩時間にスキャンを実施するのがおすすめですが、時間帯が重ならないように注意してください。
まとめ
パソコンが重くなる理由にはさまざまな種類があり、対策もそれぞれ異なります。しかし、1つずつ対処すれば、快適な動作環境を維持することは可能です。パソコンが重い状態を改善する方法を学べば、パソコンが長持ちしてすぐに買い換える必要がなくなるかもしれません。
執筆年月日:2024年10月