畳の張替え費用相場はどれくらい?張替え方法や業者の選び方も解説

  • 自宅の修理・リフォーム
畳の張替え費用相場はどれくらい?張替え方法や業者の選び方も解説

日本の伝統文化のひとつとして親しまれてきた畳。防音性やクッション性にも優れている畳はどこか懐かしい、ホッとする空間を演出してくれますが、時の経過によって少しずつ劣化していきます。

畳の上を歩いた時のザラつきや表面のへこみは、張替えのサインです。放っておくと、ダニなどの害虫が発生する心配もあるため、張替えの検討を始めましょう。
今回は、畳の張替え費用の相場や張替え方法、業者の選び方について解説します。

畳の張替え・メンテナンス時期の目安

畳の張替え方法は、「新調・表替え・裏返し」の3種類です。

どの方法を取るかによって、メンテナンス時期の目安も異なります。

畳の張替え方法

メンテナンス時期の目安

裏返し

購入して約3~5年後

表替え

購入して約4~7年後

新調

購入して約10~20年後

3つの張替え方法の詳細や違いの前に、まずは、畳の構造や部位について説明しましょう。

畳の構造・部位の違い

畳は、「畳表・畳床・畳縁」の3つの部位で構成されています。畳床は、日常生活で意識することはあまりないでしょう。

畳は、弾力性があり芯の部分となる「畳床」の上に、敷物のように「い草」を織り込んだ「畳表」を乗せ、この2つを布などで作られた飾りの「畳縁」で固定させて作ります。

ここからは、それぞれの部位について詳しく説明しましょう。

畳表(たたみおもて)

「畳表(たたみおもて)」は表面のゴザ部分で、裏返しや表替えに関わる部位です。

一般的には、稲の葉に似ている「い草」という植物を使用し、綿や麻などの経糸で織り込んで作られますが、昨今は、天然の「い草」の代わりにPPや和紙を使用した代替品の畳表も、市場に多く出回ってきています。

「い草」の香りにはストレスの軽減や鎮静作用などの効果があり、アロマテラピーにも使用されています。畳表を「い草」にすれば、リラックス効果も得られるでしょう。

新しい畳表は、青みがかった色合いで「い草」独特の香りを放ちますが、年数が経って日に焼けると黄色く変色し、香りも薄らいできます。

畳床(たたみどこ)

「畳床(たたみどこ)」は、畳の芯に当たる部分です。

古くは藁を圧縮して固める藁床が中心でしたが、最近は、木片チップとポリエスチレンフォームを使用し、不織布で弾力性を出した化学床も多く使われています。なかには、畳床と畳表の間に保護材や断熱材・防湿シート・防虫シートなどを重ねた畳もあるため、畳床を交換する場合は、オプションで断熱材や防湿シートを追加するのもよいでしょう。

なお、畳は地域や住宅によって寸法が異なるため、畳床の交換時は注意が必要です。

畳の名称

寸 法

特 徴

五八間
(江戸間)

175.8cm×87.9cm

関東地方をはじめ、最近の住宅に多い

五六間
(団地間・公団間)

169.6cm×84.8cm

マンション・集合住宅に多い

本間・京間

191.0cm×95.5cm

関西・中国・四国・九州地方の住宅に多い

六一間
(安芸間)

184.8cm×92.4cm

中国・四国地方の住宅に多い

三六間
(中京間)

181.8cm×90.9cm

山形・岩手など北陸の一部、名古屋・岐阜、東北の福島、沖縄・奄美大島などの住宅に多く見られる

畳間にすき間ができないよう、依頼する際は業者にサイズを測ってもらいましょう。

畳縁(たたみべり)

「畳縁(たたみべり)」は畳のすき間をなくし、畳表の角が摩擦されないようにするため、長辺に付けられた布のことです。素材は、綿や純麻・金糸などを使用したものもありますが、昨今は、ポリエステルやポリプロピレンなどの化学繊維の畳縁も市場に出回っています。最近では、畳縁は畳以外のハンドメイドの小物や小銭入れなどに彩りを加える際にも使用されているようです。

畳縁は、絵柄や色などバラエティも豊富です。畳の張替えの際には好みの畳縁を選んで、部屋のイメージを変えてみるのもよいでしょう。

畳縁といえば、子どもの頃に踏まないよう注意された方もいらっしゃると思います。なぜ踏んではいけないのか、理由をご存知でしょうか。

畳縁は、日本では古くから上座と下座の境目として身分の上下関係を示す役割を担い、家紋をあしらう紋縁が用いられることもありました。「畳縁を踏む」という行為は、序列や格式などの作法に反し、相手を侮辱するものとみなされ、今でもこのような昔からの慣習や行儀作法が受け継がれているのです。

また、武家社会の時代には、畳のすき間から刃物や槍を突き出す暗殺事件もあったため、床下にいる暗殺者から身を守り、位置を察知されないようにする意味合いもあるといわれています。

畳の張替えの方法と費用相場

畳の張替えの方法は先述の通り、3種類あります。

表面に傷が見られる、日焼けで赤茶けているような畳は、張替えのサインです。先述のメンテナンス時期より前でも、どの方法で張り替えるかを検討すべきでしょう。

この章では、3つの張替え方法の詳細と費用の相場について説明します。

裏返し

裏返しは、現在使用している畳をただ裏返すのではなく、劣化した畳表を畳床からはがして裏返しにし、未使用の面を表にする作業です。使用状況にもよりますが、購入して3~5年後を目安におこないましょう。

この裏返しは、畳床を取り替える必要はないため、最も効率的で価格もリーズナブルですが、一度しかできません損傷の激しい場合や使用年数の経過で畳表の奥まで変色している場合は、裏返しではなく、表替えになる可能性が高くなります。

費用の相場は、一畳あたり4,000円〜9,000円程度で、作業は当日中に完了します。

畳を購入して一度も裏返しをせず、5年以上使用している場合は、業者に裏返しの可否を相談してみましょう。

表替え

表替えも、裏返しと同様に畳床をそのまま残し、畳表だけを新しいものに交換する方法です。裏返しをしておよそ5年が経過したら、表替えを検討しましょう。畳の表面が新しくなり、フレッシュな「い草」のかぐわしい香りが部屋一面に漂い、気分をリフレッシュできます。

裏返しとは異なり、表替えは畳床の状態がよければ何度も張替え可能です。

ただし、畳床を交換しないため、下記に該当する場合は対応できません。ひとつでも心当たりがある場合は、事前に業者に相談してみましょう。

  • 畳に弾力性がない
  • 畳にへこみがある
  • 敷居と畳の高さに5ミリ以上の差がある
  • 畳床にシロアリが発生している
  • 畳間にすき間がある

費用の相場は、一畳あたり4,000円〜20,000円程度で、作業は当日中に完了します。

新調

新調は、畳を一式すべて新しいものに交換する方法です。

畳の間にすき間がある、表面に凹凸がある、全体的に弾力性がないような状態は、畳床自体が痛んでいる可能性があります。このようなケースは、裏返し・表替えのメンテナンス時期でも新調を検討しましょう。

昨今は、昔から使用されている藁の畳床以外に、断熱効果の高い建材畳床(ボード床)なども市場に出回っています。昔ながらの木造建築ではなく、現在の機密性の高い住宅では、建材畳床が使用されるケースも多いようです。

畳一式の交換になるため、新調はほかの2つの方法よりも高額になります。

費用の相場は、一畳あたり7,500〜35,000円程度で、作業時間の目安は2日〜2週間程度です。

畳張替え業者の選び方のポイント

畳の張替え作業は、職人の手作業になります。どんなに熟練していても、全く同じには仕上がりません。だからこそ、キレイに仕上げるためには寸法を正確に測り、適切な手順で作業を進めてもらう必要があります。

後悔することのないよう、張替え業者を選ぶ際は、次の3つのポイントに注意しましょう。

施工実績・事例・口コミがあるか

業者の施工実績や事例、口コミがあるかを事前に確認しましょう。

大抵は、業者の公式Webサイトから、畳の張替えの取扱件数や事例を閲覧できます。

一軒家や集合住宅、異なる地域などでの幅広い作業実績のある業者のほうが、標準とは異なるタイプや大きさの畳でも柔軟に対応してくれる可能性は高いでしょう。

また、インターネット上には、各業界や職業・商材に関する口コミサイトも存在しています。依頼予定の業者について、どんな口コミが書き込まれているのかもチェックしておきましょう。「作業に不満がある」「対応がよくない」などの口コミが複数書き込まれている業者は、避けたほうが安全です。

複数の業者から見積もりを取る

畳の張替えは仕上がりも大事ですが、物価高騰が続いているなか、「なるべく費用を抑えたい」という方もいらっしゃるでしょう。その場合、複数の業者から相見積もりを取るのもおすすめです。

基本料金が安くても、オプションが細かく設定され、作業が終わった時に想定以上の金額を請求されるかもしれません。先述の口コミ情報も参考にしながら見積もりの提示金額を確認し、どの業者に依頼すべきかを慎重に検討しましょう。

保険の有無を確認する

業者に依頼する際は、保険に加入している業者かどうかも確認するとよいでしょう。

職人にもよりますが、作業中に力の加減ができず床板に穴を開けてしまったり、割ってしまったりするかもしれません。畳や作業道具を運んでいる間に、部屋の壁を傷つけてしまうケースもあるでしょう。また、粗悪品の畳で、作業が終わってから人的被害を受ける可能性もないとはいえません。

その点、損害賠償保険に加入している業者であれば無料で補修してもらえるため安心です。

畳に関する保険は2種類で、「商工賠償保険」「PL保険」があります。

保険の種類

保険の内容

商工賠償保険

畳を敷いて畳店の自宅に帰るまでに発生した事故の補償
例:張替え時に発生した家具の破損・住人のケガなど

PL保険
(製造物責任法)

畳を敷いた後10年の人的・物的な被害の補償

万が一に備えて、依頼する業者の保険加入の有無と補償内容も確認しておきましょう。

まとめ

畳のある部屋はリラックスできますが、長く使うためにはお手入れも大切です。

メンテナンス時期の目安を参考に、畳の張替えの検討をしてみてはいかがでしょうか。

特に、赤ちゃんや乳幼児のいらっしゃるご家庭では、ダニなどの害虫が発生しないよう衛生面にも気を配る必要があります。少しでも長く快適に過ごせるよう、畳の状態に気になる点があるときは、専門業者に相談してみるとよいでしょう。

執筆年月日:2024年10

記事一覧に戻る