家庭用蓄電池の価格相場は?費用を抑えるコツも紹介

  • 自宅の修理・リフォーム
家庭用蓄電池の価格相場は?費用を抑えるコツも紹介

家庭用蓄電池の導入を検討する際、価格は重要なポイントです。相場を理解しないと、過剰な支出や施工品質に不安が生じることがあります。そこで、本記事では家庭用蓄電池の価格相場、変動要因、購入費用を抑えるポイントを詳しく解説します。導入を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

家庭用蓄電池の基本情報と容量の選び方

蓄電池には、「蓄電容量」と「定格出力」という重要な指標があります。蓄電容量は、蓄電池に蓄えられる電力量を表し、kWhで表記される指標です。一方、定格出力は、一度に取り出せる最大の電力値を指し、kWで表されます。家庭の電力使用状況に合わせて、これらの数値を考慮して製品を選ぶことが重要です。

定格出力と蓄電容量の違い

定格出力は、蓄電池から一度に供給できる電力の量を指します。この数値が高いほど、同時に使用できる家電の数が増えます。使用環境に適した出力を選ぶことも重要なポイントです。

一方、蓄電容量は、蓄電池にどれだけの電気をためられるかを示します。家庭用では3〜4.5kWhが一般的ですが、近年では7〜12kWhの大容量モデルが増えています。たとえば、7kWhの蓄電池であれば、日中に充電し、夜間の電力供給に十分対応できる場合が多いです。ただし、必要な容量は家族の電力消費状況に左右されるため、各家庭の使用状況に合わせた選定が大切です。

家電製品をどれだけ使えるか

蓄電池の容量が10kWhだと、どのくらい家電が使えるか想像しにくいかもしれません。たとえば、1kWの家電なら約10時間使えますが、2kWなら約5時間で電力が尽きます。LED照明は5〜20W、冷蔵庫は100〜200W、エアコンは600〜2,500W、電子レンジは600〜1,500Wなど、各家電の消費電力と使用時間を計算すれば、10kWhでどれだけ稼働できるか把握しやすくなります。消費電力が低い家電は長時間使えますが、エアコンやIHヒーターなどの高電力家電は早く電力を消費するため、電力管理が重要です。

家庭用蓄電池の価格相場

経済産業省によると、蓄電池の本体価格は1kWhあたり平均14万円(工事費含む)とされています。このため、10kWhの蓄電池を導入する場合、本体価格は約140万円が目安です。

家庭用蓄電池の設置にかかる総費用は、2024年の相場で約85万〜200万円とされています。このうち、蓄電池本体の価格は14.9万〜183.4万円です。

初期費用は、モデルや設置環境、契約する業者によって変動するため、容量1kWhあたり18万〜25万円を超える場合は割高の可能性があります。また、家庭用蓄電池は「オープン価格」で販売されることが多く、初期費用を抑えるためには複数社の見積もりを比較することが重要です。さらに、補助金が適用される場合もあるため、事前に情報収集を行い、利用できる制度を活用すると、導入コストを軽減できます。自宅の電力需要に合った蓄電池を選ぶために、専門家に相談するのも良い方法でしょう。

家庭用蓄電池の目標価格

経済産業省が示す「家庭用蓄電システムの2030年度の目標価格」は、工事費を含めて7.7万円/kWh(税込み)です。この目標は、2019年度の18.7万円/kWhという目標価格に比べ、2倍以上のコスト削減をめざしています。

また、蓄電池メーカーへのアンケート結果では、参加した9社のうち4社が「3〜9万円/kWhの範囲は達成可能」と回答しており、2030年度の目標価格達成の見込みが高まっています。このことから、家庭用蓄電池の普及は今後さらに進むと考えられるでしょう。

参考:再エネ大量導入時代における分散型エネルギーシステムのあり方|経済産業省

引用:再エネ大量導入時代における分散型エネルギーシステムのあり方|経済産業省

蓄電池の導入費用の変動要素

蓄電池の導入費用は、さまざまな要因によって変動します。主な要因として、蓄電池の種類、蓄電容量、電気の変換方式、停電時の電力供給範囲が挙げられます。これらの要因を理解することで、導入費用を抑えるための効果的なポイントが見えてくるでしょう。それでは、各要因について詳しく見ていきます。

蓄電池の種類

蓄電池は主にニッケル水素電池、リチウムイオン蓄電池、鉛蓄電池、NAS蓄電池の4タイプがあります。

  • ニッケル水素電池:環境に優しく、過充電・過放電に強い。
  • リチウムイオン蓄電池:高容量・高電圧で、小型・軽量。家庭やスマートフォンで主に使用される。
  • 鉛蓄電池:コストを抑えられ、家庭用としても使用される。
  • NAS蓄電池:将来的に普及が期待され、容量が大きく寿命も長い。

リチウムイオンが主流ですが、鉛やNASを選ぶことでコストを抑えられる可能性があります。

蓄電容量

蓄電池の価格は、電気を蓄える容量、すなわち蓄電容量の影響を受けます。一般的に、蓄電容量が増えると、1kWhあたりの価格は低下する傾向です。しかし、総費用を考慮すると、ポータブルタイプの小容量の蓄電池よりも、定置型の大容量蓄電池の方が高額になることがあります。

大きな蓄電容量は、停電が続く場合に安心感をもたらしますが、その分、初期投資も高くなります。日常の電力使用量をよく理解し、自宅に合った蓄電容量を選ぶと、最終的にコストを抑えられるでしょう。

電気の変換方式

蓄電池の電気の変換方式には「ハイブリッド型」と「単機能型」があり、一般的にハイブリッド型の方が高価格であることが多いです。主な違いは、パワーコンディショナー(パワコン)の台数で、ハイブリッド型は1台で済むため、交換時のコストが低く抑えられます。出力も大きく、停電時に高出力の家電を使用できる点がメリットです。

一方、単機能型は初期費用が安いですが、2台のパワコンが必要で、交換時の負担が大きくなります。停電時の出力も小さく、大きな電力を必要とする家電を同時に使うと、機能停止のリスクがあります。

停電時に供給される電気の範囲

蓄電池の供給方式には「特定負荷型」と「全負荷型」があり、停電時に供給される範囲が異なります。

  • 特定負荷型:特定の部屋や電化製品にのみ電気を供給し、費用は安いですが、長引く停電時には不便さを感じることがあります。
  • 全負荷型:すべての部屋や電化製品に電気を供給し、停電時でも通常の生活を維持しやすい反面、費用は高めです。

通常時はどちらのタイプも家全体に電気を供給できるため、それぞれの特徴を理解し、用途に応じて選ぶことが大切です。

蓄電池の価格は種類や販売メーカーによっても変動する

蓄電池の価格や設置費用は、種類やメーカーによって大きく異なります。1kWhあたりの相場は平均で14万円程度ですが、施工品質や保険の加入状況も価格に影響を与えます。導入費用を抑えるためには、相場を理解し、費用に影響する要素を把握することが大切です。また、補助金の活用や複数の業者から見積もりを取ることも効果的です。

たとえば、10kWhの蓄電池があれば、冷蔵庫やIHクッキングヒーター、電子レンジなどを一定期間使用することができますが、同時に他の家電を使うと稼働時間が短くなる点に注意が必要になります。価格が高すぎるのは避けるべきですが、極端に安価な販売メーカーも施工品質に問題がある可能性があるため、慎重に選びましょう。

蓄電池設置の費用を抑える方法

次に、蓄電池設置のコストを抑えるための方法を解説します。大きな投資だからこそ、適切な対策で費用を抑えましょう。

補助金の活用

蓄電池の設置には、国や自治体の補助金を活用できる場合があります。たとえば、「子育てエコホーム支援事業」では、対象の蓄電池を購入すると1戸あたり6.4万円の補助を受けられます。ほかにも補助制度があるため、調べてみると費用負担を軽減できる可能性があるでしょう。ただし、補助の対象や申請条件は制度ごとに異なるため、事前に詳細を確認することが大切です。

相見積もりを取る

工事費用は業者によって大きく異なるため、複数の業者から見積もりを取って比較することが、費用を抑えるためのポイントです。しかし、極端に安い見積もりを出す業者には注意が必要です。安い価格を提示していても、後から追加費用が発生することがあるため、総額での比較が重要となります。また、見積もりを比較する際には、工事内容や費用の内訳がしっかりと明記されているか、アフターサービスが充実しているかも重要な確認ポイントです。

ライフスタイルに合わせて容量を決める

蓄電池を選ぶ際は、ライフスタイルに合った容量を設定することが重要です。家庭用蓄電池の容量は、4kWhから最大17.76kWhまであり、一般的に容量が大きいほど価格も上昇します。

必要以上の容量を選ぶと、無駄な費用が発生し、余剰電力をうまく活用できなくなります。1日の消費電力量に基づいて、少し多めの蓄電容量(例:5kWhの消費には6〜7kWhの蓄電池)を考慮するのがおすすめです。また、太陽光発電の発電量も考慮し、適切な容量を選ぶと、経済的メリットを最大化できます。

型落ちを購入する

最新型には、性能の向上や不具合の改善といったメリットがありますが、型落ちでも基本的な機能は十分に備わっている場合が少なくありません。そのため、コストを抑えたい方にとっては、型落ちの蓄電池が選択肢として有力です。

もちろん、型落ち製品には最新型と比べて技術的な進化が見られない点もありますが、必要な機能が揃っていれば、十分に活用できます。最新型にこだわりがない場合は、型落ちの蓄電池を選ぶことで、経済的な負担を軽減しつつ、実用的な選択ができるかもしれません。

まとめ

蓄電池の導入には高額な初期投資がかかりますが、災害時の電源確保や再生可能エネルギーを利用した電力の自給自足に大いに役立ちます。導入にあたっては、費用をしっかりと考慮し、ニーズに合った製品を選ぶことが重要です。また、価格は相場を参考にし、極端に安い販売店には注意が必要です。適正な価格で、信頼できる施工業者を選び、安心して導入を進めましょう。

執筆年月日:2024年10月

※内容は2024年10月時点の情報です。法律や制度は改正する場合があります。

記事一覧に戻る