おすすめの屋根材の種類と特徴│価格や耐用年数などを比較して紹介

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おすすめの屋根材の種類と特徴│価格や耐用年数などを比較して紹介
注文住宅やリフォームで後悔しないために、家の寿命を左右する屋根材の選択は慎重な検討が欠かせません。この記事では、屋根材の種類や特徴、おすすめの屋根材について解説します。理想の家づくりについて悩んでいる人は参考にしてください。

屋根材を選ぶ際のポイント

屋根材の選び方として重要なポイントは、価格・デザイン・耐用年数の3つです。こだわりたい部分によって、実現する住まいの姿も変わってきます。納得できる選択をするため、ポイントを抑えておきましょう。

価格

屋根材は種類によって施工価格が大きく異なり、安い屋根材と高い屋根材では2倍の差があります。

安く抑えたい人はガルバリウム鋼板とスレートとアスファルトシングルがおすすめです。屋根材の価格を抑えることで、他の部分のリフォームに予算を充てられるでしょう。一方、陶器瓦の価格は高めですが、ひび割れしにくく、ほとんどメンテナンスが必要ないため、屋根材購入後の費用はあまりかかりません。

価格だけで判断せずに、メンテナンスの頻度など、購入後のことも検討して比較するのがおすすめです。

デザイン

屋根材を選ぶ際は、家を保護するための耐久性も重要ですが、理想の住まいを実現するためのデザイン性も重要なポイントとなります。

デザイン性が高いのは陶器瓦とアスファルトシングルです。和風で格式高い印象がよければ陶器瓦、洋風で洗練された温かみのあるデザインがよければアスファルトシングルがおすすめです。外壁や周りの景色とのバランスを見て屋根材を選択するとよいでしょう。

耐用年数

雨・風・日光など外からの影響を受ける屋根材の耐用年数を知っておくと、破損や消耗の際に計画的なメンテナンスが可能となります。家の屋根材で最も耐用年数が長いのは陶器瓦です。50年以上の耐用年数があり、塗り直しなどメンテナンスはほとんど必要ありません。

長期的に安心して住みたい人は、耐用年数を意識して屋根材を選択しましょう。

※ガルバリウム鋼板は、「日本製鉄株式会社」の登録商標です。

おすすめの屋根材

ここからは人気が高い屋根材をいくつか紹介します。特徴やメリット・デメリットがそれぞれ異なるため、選択が難しいかもしれませんが、屋根材選びのヒントとして役立ててください。

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板とは、金属鋼板の表面にアルミニウム・亜鉛・シリコンをメッキ加工した屋根材です。施工価格は1㎡あたり6,000~9,000円です。デザインは、黒やシルバーなどモダンでスタイリッシュなものが多く、耐用年数は30~40年となります。

メリット

デメリット

・金属素材の中ではさびにくい
・耐用年数が長い
・防水性が高い
・軽量で耐震性が高い

・断熱性・防音性が低い
・傷がつきやすい

屋根材同士に隙間が少ないガルバリウム鋼板は、防水性が高く、金属素材の中でもさびにくいため、雨漏りに強いのが特徴です。金属素材の長所である、1㎡あたり約6kgの軽量性と耐震性も持ち合わせている、人気の高い屋根材です。

メッキがはがれて金属板が露出したり、表面に傷がついたりするとさびる可能性があるため、10~15年を目安に再塗装を行いましょう。

また、ガルバリウム鋼板はもともと断熱性・防音性が低いですが、近年は中にウレタンなどの断熱材を入れた商品が開発されており、これらの問題点が改善しています。

ガルバリウム鋼板は、メンテナンスを最低限にして耐震性の高い家に住みたい人におすすめです。

スレート

スレートとは、セメントと繊維素材を混ぜて薄い板状に加工した屋根材です。メーカーによって「人工スレート」「化粧スレート」「コロニアル」「カラーベスト」と呼び方が異なります。

施工価格は、1㎡あたり4,000~7,000円と、屋根材の中では価格が安いですが、耐用年数は20~30年となり、他の屋根材より少し短くなります。スタイリッシュなデザインで、カラーや形状のバリエーションが豊富です。

メリット

デメリット

・価格が安い
・色やデザインが豊富
・瓦よりも軽く耐震性が高い
・施工できる業者が多い

・こまめなメンテナンスが必要
・耐久性が低く割れやすい
・乾きにくくコケや藻が生えやすい

スレートは1㎡あたり約20kgと軽量で薄く耐震性に優れているものの、他の屋根材より強度がやや劣るため割れやすい傾向にあります。また、表面の塗装がはがれてしまうと防水性が失われ、コケが発生するリスクもあります。セメントは水に弱いため、10年に1度は再塗装が必要です。湿気がたまりやすい地域に住んでいる人は気をつけましょう。

スレートは日本の戸建て住宅での普及率が高く、リフォームを依頼できる施工会社が多いのも魅力的です。初期費用を安くして、デザイン性の高い屋根材を選びたい人におすすめです。

なお、2004年以前のスレートには、耐久性の高いアスベストが含まれているため耐用年数が30~40年と長くなっています。アスベストは割れなければ人体に影響はありませんが、使い続ける場合は定期的に塗装を行いましょう。アスベストが入ったスレートをリフォームする場合は、施工業者とよく相談してください。

陶器瓦

陶器瓦とは、粘土の表面に釉薬(ゆうやく)を塗って高温で焼いた日本の伝統的屋根材です。「粘土瓦」「いぶし瓦」「釉薬瓦」「日本瓦」「和瓦」などと呼ばれることもあります。

施工価格は、1㎡あたり9,000~12,000円で、他の屋根材より高いです。日本家屋でよく見かける瓦のデザインとなりますが、塗る釉薬によって色やツヤを変えられます。耐用年数は50年以上となり、破損がなければ繰り返し使用可能です。

メリット

デメリット

・耐久性が高い
・衝撃に強い
・再塗装が不要
・断熱性・防音性が高い

・重いため耐震性が低い
・施工価格が高い
・施工業者が少ない

陶器瓦は耐久性が非常に高く、ひび割れが発生する可能性が少ないため、ほとんどメンテナンスが必要ありません。釉薬を塗った瓦を焼くことで、紫外線に耐性ができ、色あせや腐食が起こりにくくなります。陶器瓦が破損した場合は、瓦1枚だけ部分的な補修が可能です。厚みがあるため断熱性・防音性にも優れています。

一方で、1㎡あたりの重量が約40kgあるため、耐震性は低下します。そのため、建物の基礎部分をしっかり工事する必要があり、建築費が高くなるでしょう。スレートなど軽量な屋根材を使用している屋根から陶器瓦へのリフォームを希望する場合は、変更しても問題ないか耐震性の確認が必要です。

陶器瓦の施工は、1枚1枚手作業で行う必要があるにもかかわらず、施工できる職人が年々減少しているという問題点もあります。

陶器瓦は、施工費用が高くても屋根の耐久性を重視したい人に向いています。

アスファルトシングル

アスファルトシングルとは、ガラス繊維にアスファルトを浸透させて、表面に着色された石粒を吹き付けたシート状の屋根材です。薄いシート状で、折り曲げたりカッターで切ったりできるため、複雑な形状の屋根にも施工できます。

施工価格は、1㎡あたり5,000〜8,000円です。表面の石粒の色によって、洋風で温かみのある印象を与えてくれます。アスファルトシングル屋根の耐用年数は20~30年で、屋根材の中ではやや短めです。

メリット

デメリット

・軽量で耐震性が高い
・さびにくい・割れにくい
・防水性・防音性が高い
・価格が安い
・傷がつきにくい

・強風ではがれることがある
・表面の石が落ちやすい
・施工できる業者がまだ少ない
・耐火性が低い

アスファルトシングルは柔らかいためひび割れがおこりにくく、金属素材ではないためさびにくいのが特徴です。素材に使われているガラス繊維とアスファルトはいずれも防水性が高く、雨漏りのリスクを抑えます。石粒でおおわれた表面は傷がつきにくいだけでなく、雨が当たると分散されて雨音が室内に響きにくいため、防音性が高くなります。

アスファルトシングルは、リーズナブルな価格でおしゃれなデザインの屋根にしたい人におすすめです。1㎡あたり9〜12kgと軽量で耐震性も高く、地震対策にも適しています。

施工の際は、接着剤で屋根に固定しますが、強風が吹くとはがれやすくなります。また、経年劣化により表面の石粒が落ちやすいため、5年おきのメンテナンスがおすすめです。ただし、北米で開発された屋根材のため、修理やメンテナンスを依頼できる施工業者は少ないかもしれません。

また、アスファルトは耐火性が低く燃えやすいため、防火・準防火地域では使用できません。お住まいの自治体のホームページの都市計画図を閲覧して、自宅エリアが防火・準防火地域か事前に確認しておきましょう。

その他のおすすめの屋根材

その他にも屋根材には、セメント瓦やトタン、ジンカリウム鋼板、陶板などがあります。セメント瓦とトタンは日本の家屋でよく使われていましたが、衝撃に弱かったり、防音性や断熱性が低かったりするため、現在はあまり使われていないようです。

ここでは、おすすめの屋根材としてジンカリウム鋼板と陶板を紹介します。

【ジンカリウム鋼板】
ジンカリウム鋼板は、表面を石粒でコーティングした金属の屋根材です。施工価格は、1㎡あたり9,000~11,000円となります。表面の石粒により温かみのあるデザインで、耐用年数は30~40年です。

メリットは、石粒のコーティングの影響により、ガルバリウム鋼板よりも防音性・断熱性が向上することと、さびにくく再塗装が不要であることです。金属や石など不燃性の素材で製造されるため、防火性も高くなります。デメリットは、ガルバリウム鋼板より重く、価格が高いことです。

ガルバリウム鋼板同様に、メンテナンスを最低限にして耐震性の高い家に住みたい人におすすめです。

【陶板】
陶板は陶器瓦を軽量化したモデルです。施工価格は、1㎡あたり16,000円以上となります。陶器瓦のような凸凹があまりなく、シンプルで高級感のあるデザインとなり、陶板屋根の耐用年数は50年以上です。

メリットは、陶器瓦同様に耐用年数が長く、再塗装も不要であることです。デメリットは、陶器瓦より価格が高く、スレートや金属系に比べると重いことです。初期費用が高くてもいいから長持ちさせたい人に推奨します。

※ジンカリウム鋼板は、「BlueScope社」の登録商標です。

まとめ

屋根材は一度購入したら長く使うため、じっくりと比較し、自分が納得できるものを選ぶことをおすすめします。価格・デザイン・耐用年数のどれを重視するのか、メリット・デメリットが理解できているかによって、理想の住まいに近づけられるかが決まるでしょう。好みの屋根材を選んで、快適な暮らしを実現してみてください。

執筆年月日:2024年11月
※内容は2024年11月時点の情報です。法律や制度は改正する場合があります。

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