ウォシュレットなどの温水便座の故障の原因は?症状別の対処方法を解説
毎日使うトイレが故障すると、日常生活に大きな影響を及ぼします。特に、さまざまな故障が起こりやすい傾向にあるのは、ウォシュレットなどの温水便座です。
この記事では、ウォシュレットなどの温水便座の故障の原因や症状別の対処方法について、詳しく解説します。
※ウォシュレットは、TOTOの登録商標です。ただし、本記事では温水便座全般をあらわすものとして使用している箇所もあります。
トイレの故障を特定するための基本確認事項
トイレが正常に動作しない場合、すぐに故障と判断するのではなく、まずは簡単な確認から始めましょう。特にウォシュレットなどの温水便座に関するトラブルが多いですが、その使用年数の確認は忘れがちです。通常、ウォシュレットは設置後およそ10年程度で交換時期を迎えます。この期間を超えている場合は、修理よりも新規購入を検討した方がよいかもしれません。
使用年数がまだ交換の目安以内であれば、次の2点を確認しましょう。
- 電源
- 水の供給状況
それぞれについて詳しく解説します。
電源の確認
まず、電源の確認から始めましょう。確認するポイントは、次の4つです。
- 操作パネルやリモコンの電源
- トイレ周辺のコンセントの接続状態
- 他の電化製品の動作
- 家庭内のブレーカーの状態
初めに、操作パネルやリモコンを詳しく調べてみましょう。誤って電源をオフにしていないか確認します。次に、電源プラグが正常に差し込まれているかどうかも確認しましょう。
これらに問題がない場合は、他の電化製品が正常に動作しているか、家庭内のブレーカーが落ちていないかどうかも確認してみてください。
水の供給状況の確認
電源は正常に入っていることが確認できたら、水の供給状況の確認を行いましょう。
まずは、トイレ以外の場所で水が出るかどうかを確認します。洗面所やキッチンなど、別の場所でも水が出ないときは、水道の元栓が閉じているか集合住宅での断水作業が行われている可能性があります。このような場合は、管理会社などに連絡して状況を確認してみましょう。
一方、他の場所では水が出ているのにトイレだけ水が出ない場合は、次のような原因が考えられます。
- 水漏れ
- 給水フィルターの目詰まり
- ノズルの詰まり
- 機器の経年劣化
これらの問題は、状況によって対処方法が異なるため、原因を特定し、適切な対応をとることが重要です。
【症状別】ウォシュレットなどの温水便座の故障原因と対処法
次に、ウォシュレットなどの温水便座の故障原因と対処法を症状別にご紹介します。
水漏れのトラブル
ウォシュレットから水が漏れている場合、どこから発生しているのかを特定することが重要です。原因として考えられる箇所は、主に次の3箇所です。
- ノズル
- 給水管・分岐栓
- 吸水フィルター
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
【ノズルからの水漏れ】
ウォシュレットのノズルから少量の水が出ているのは、通常、清浄機能の一環です。しかし、電源が入っていない時に水が流れ続けたり、水量が異常に多かったりする場合は、水漏れの可能性があります。
原因としては、ノズルのパッキンやバルブユニットの不具合が考えられ、修理には部品交換が必要です。自身での交換も可能ですが、ウォシュレットの仕組みに詳しくない場合は、専門業者へ相談するのが賢明です。
【給水管・分岐栓からの水漏れ】
給水管や分岐栓からの水漏れは、接続部分の緩みや劣化が原因で起こります。特に、長年使用されて緩みやすくなった配管や、劣化したゴムパッキンの影響であるケースが多いです。
水漏れを発見したら、水道の元栓を閉め、漏れの箇所を確認しましょう。必要に応じて、接続部分をしっかりと締め直し、パッキンの交換を行うと、漏れを防ぐことができます。
【給水フィルターからの水漏れ】
給水フィルターからの水漏れの原因は、フィルターの劣化や目詰まりなどです。フィルターが詰まると水圧が上がり、漏れが発生することがあります。
フィルターが詰まった際は、まずトイレの止水栓を閉めてから、フィルターを取り外しましょう。次に、フィルターを洗って、汚れを取り除きます。それでも改善しない場合は、新しいフィルターへの交換を検討しましょう。
ノズルが機能しない
ウォシュレットのノズルの不具合が発生した場合は、どのように対処すればよいのでしょうか。ここでは、よく見られる3つの症状について、原因と対処法を解説します。
【ノズルから水が出ない】
ノズルから水が出ない場合、給水フィルターに汚れが溜まっている可能性があります。フィルターが目詰まりすると水の流れが悪くなり、ノズルから水が出ないのです。
まずはトイレの止水栓を閉め、フィルターを取り外して掃除をしましょう。歯ブラシなどで軽くこすり、きれいにしたら元に戻し、止水栓を開けてください。説明書を確認しながら作業すると安心です。
【ノズルが出てこない】
ウォシュレットのノズルが出てこない場合、接合部に尿石や汚れが付着している可能性があります。尿石は飛び散った尿が固まったもので、水道水の成分と結びつくと落ちにくく、ノズルが正常に伸縮できなくなる原因となる場合があります。
これらの汚れは、掃除で取り除けるため、歯ブラシなどを使ってやさしく丁寧にこすりましょう。
【ノズルから水が止まらない】
ノズルから水が止まらない場合、まずは電源トラブルを確認しましょう。電気系統が正常に作動しないと、水が止まらなくなります。
電源プラグの抜き挿しや、電源の入れ直しを行うと、改善することがあります。また、壁付けのリモコンがある場合、電池切れが原因で操作がうまくいかないのかもしれません。リモコンの電池を交換し、動作を確認しましょう。
それでも解決しない場合は、専門業者に相談するのがおすすめです。
温水や便座の温度問題
ウォシュレットなどの温水便座は、使用時の温度が適切でないと不快感につながります。ここでは、温水や便座の温度のトラブルの原因と対処法について、見ていきましょう。
【温水が出ない】
ウォシュレットから温水が出ない場合、主な原因は以下の3つです。
- 節電機能の影響
節電機能が働いている場合、温水の温度が安定しません。この機能をオフにすると、温水温度が正常に戻ります。 - 設定温度が低い
設定温度が低いと、温水が出ません。温度を高く設定すると改善できます。 - 温水切れ
長時間使用していると、温水が切れることがあります。この場合は時間が経てば解消されますが、改善しない場合は故障の可能性があるため、業者に相談しましょう。
【便座が冷たい・または熱すぎる】
便座が冷たい場合、温度設定がうまくできていない可能性があります。この場合は、設定を確認し、必要に応じて温度を上げましょう。
また、着座センサーが汚れて反応しないケースも考えられます。センサー周辺をきれいに掃除し、正常に機能するかどうか確認してみましょう。さらに、便座に浅く座ったり、長時間座ったりすると、着座センサーが正しく作動せず、便座ヒーターがオフになることがあります。
一方、便座が熱すぎる場合は、高い温度設定が原因です。この場合も、設定を見直すことで解決できます。
ウォシュレットの動作トラブル
ウォシュレットは、時に動作しなくなることがあります。ウォシュレットが動かない場合の原因や対処法についても、確認しておきましょう。
【ウォシュレットが動かない】
ウォシュレットが動かない場合、まず電源が入っているか確認しましょう。コンセントが抜けていたり、ブレーカーが落ちていたりすることがあります。また、リモコンの電池切れも考えられるため、電池の残量も確認してみてください。
【センサーの問題】
ウォシュレットのセンサーが正常に動作しないと、洗浄機能が使えないことがあります。センサー部分に汚れや異物が付着していると、感知できなくなる場合があるため、掃除を行いましょう。それでも解決しない時は、センサーが故障している可能性があるため、専門業者への修理依頼をおすすめします。
ウォシュレットなどの温水便座の故障を防ぐためのメンテナンス
ウォシュレットなどの温水便座の故障を防ぐためには、定期的なメンテナンスが重要です。ここでは、具体的な掃除方法を確認していきましょう。
ノズル周辺の掃除
ノズルは、ウォシュレットの中でも特に汚れが溜まりやすい部分です。尿石や汚水が付着するため、こまめに掃除を行いましょう。
毎週1回以上、ノズルを引き出し、濡れた雑巾やトイレ用の掃除シートで拭き掃除をします。ノズルは、ボタンを押すと簡単に引き出せます。スイッチがない場合は、手でやさしく引き出しましょう。
細かい部分は、綿棒や歯ブラシを使って丁寧に掃除します。頑固な汚れには、中性洗剤を使用すると効果的です。
温水便座や操作パネルの掃除
温水便座や操作パネルも、定期的に掃除しましょう。やわらかい布や掃除シートを使い、便座やパネルの汚れをやさしく拭き取ります。強くこすりすぎると傷がつく恐れがあるため、注意してください。
また、便座裏に設置されている脱臭フィルターも定期的に外して掃除し、性能を維持しましょう。
修理や交換にかかる費用と期間
ウォシュレットなどの温水便座の修理や交換にかかる費用は、故障の内容によって異なりますが、およそ1~3万円程度です。修理業者によっては、訪問料金が別途かかることがあるため、事前に確認しましょう。
修理や交換は通常、1日で完了する場合が多いですが、部品の取り寄せが必要な場合は、数日以上かかることもあります。
賃貸物件におけるトラブルの注意点
賃貸物件で、ウォシュレットなどの温水便座が故障した場合、まずは管理会社に連絡しましょう。自己判断で修理や交換を行うと、後々トラブルの原因となることがあるため、注意が必要です。
賃貸での修理対応と費用負担
賃貸物件での修理は、通常、管理会社が対応します。故障の原因が入居者の使用によるものであれば、修理費用を負担しなければならない可能性もありますが、経年劣化や設備の不具合が原因の場合は、管理会社が費用を負担するのが一般的です。
修理依頼の際は、故障の状況を詳しく伝え、適切な対応を求めましょう。
まとめ
ウォシュレットなどの温水便座が故障したら、まずは冷静に原因を特定することが大切です。症状によっては、自分で対処できるケースもありますが、複雑な故障の場合は、無理をせず、メーカーや専門家に相談することをおすすめします。適切な対処法を知り、安全に使用できるようにしましょう。
執筆年月日:2024年10月