灯油ボイラーの水漏れ原因は?対処法や修理の費用について解説
灯油ボイラーから水漏れが発生すると、床の腐食や漏電、階下への漏水など、さまざまなトラブルに繋がります。また、放置すると排気通路が塞がり、一酸化炭素中毒の危険性も考えられます。
この記事では、灯油ボイラーの水漏れの原因や対処法について詳しく解説します。
灯油ボイラーの代表的な水漏れ原因
灯油ボイラーから水漏れが起こる原因はさまざまですが、主な原因として考えられるのは下記の通りです。
- 長年の使用による経年劣化
- 配管の破損や亀裂、接続部分の緩み
- ボイラー内部の水が通る管に小さな穴が開く「ピンホール」
- 安全弁・減圧弁の故障
- 冬場の凍結による配管の破損
また、パッキンは消耗品のため、長年の使用により硬化して隙間ができ、そこから水漏れが起こる場合もあります。ここでは、灯油ボイラーからの水漏れの原因について症状別に詳しく紹介していきます。
配管からの水漏れ
灯油ボイラーの配管から水漏れが発生するケースは少なくありません。配管周辺の水滴や水染み、水漏れ音、灯油供給量の減少、お湯が出ないといった症状が見られる場合は、配管に破損や亀裂が生じている可能性があります。
配管の破損は、長年の使用による経年劣化が主な原因です。特に冬季の凍結は大きな要因となり、配管内が凍って膨張し、破裂してしまうことがあります。
配管から水漏れが発生した場合、放置するとより大きな被害に繋がるため、早急に修理・交換が必要です。修理費用は、交換する配管の長さや交換箇所によって大きく変動しますが、外壁内部など作業が困難な場所の場合は、費用が高額になる傾向があります。専門業者に依頼し、事前に見積もりを取ることをおすすめします。
逃し弁(安全弁)からの水漏れ
逃し弁は安全弁とも呼ばれ、ボイラー内部の圧力が高くなり過ぎた際に、その圧力を逃がす役割を担う重要な部品です。しかし、長年の使用により経年劣化が進み、故障してしまうことがあります。
逃し弁が故障すると、通常は閉まっている弁が開きっぱなしになり、ボイラーを燃焼させていない状態でも配管内で水が流れ続けることがあります。この場合、逃し弁周辺から水音が聞こえたり、水滴や水染みが確認できたりすることもあるのでよく確認しましょう。
ただ、逃し弁そのものの故障だけでなく、減圧弁や混合栓の故障も、逃し弁からの水漏れを引き起こす原因となる場合があります。そのため、これらの症状が見られたとしても、一概に安全弁の故障とは言い切れません。専門業者に相談し、適切な診断と修理を受けることをおすすめします。
減圧弁からの水漏れ
減圧弁は、水道からの高い水圧を、ボイラーが耐えられる適切な圧力に下げる役割を担っています。貯湯式のボイラーにはほぼ必ず取り付けられており、給水配管の近くに設置されています。しかし、長年の使用により劣化し、減圧弁から水漏れが発生することがあります。
減圧弁の故障は、ボイラーの他の部品にも影響を与えます。例えば、減圧弁が適切に機能しなくなると、ボイラー内の圧力が上がり、安全弁に過度の負荷がかかって安全弁からも水漏れする可能性が出てきます。
減圧弁からの水漏れは、周辺から水滴や水染みが確認できたり、減圧弁から水が滴り落ちる音が聞こえたりすることで気づく場合が多いです。また、減圧弁が完全に故障している場合、ボイラーに十分な水が供給されず、お湯が出ないなどの症状が現れることもあります。
減圧弁の故障は、ボイラーの寿命を縮めたり、水漏れによる二次被害を引き起こす可能性があるため、早めの修理・交換をするようにしましょう。
本体からの水漏れ
灯油ボイラーの本体から水漏れが発生した場合、いろいろな原因が考えられますが、最も多いのは、熱交換器の銅管に小さな穴(ピンホール)が開いているケースです。長年の使用によって水圧や気泡の圧力が積み重なり、銅管が徐々に劣化して小さな穴が開き、水が漏れてくるのです。
この水がボイラー内部に広がると、基盤をショートさせたり、腐食を進めたりする可能性があり、放置するとボイラー全体を交換しなければならなくなることもあります。
そのままにしておくとより大きなトラブルに繋がるため、早急に専門業者に相談しましょう。ピンホール部分を溶接するなど部分的に修理する方法もありますが、ボイラーの状態によっては買い替えも選択肢のひとつです。
修理費用は、損傷の程度や交換する部品の種類によって大きく異なるため、修理を依頼する前に、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
水漏れが発生した場合の対処方法
灯油ボイラーから水漏れが発生した場合は、慌てず落ち着いて対処することが大切です。
まずは、電源を切って水源を止め、状況の悪化を防ぎましょう。ボイラー本体に続く管のどこかに設置されている止水バルブを探して閉めれば、給水を止めることができます。止水バルブが見当たらない場合は、水抜き栓(元栓)を閉めましょう。
次に専門業者に連絡し、状況を説明しましょう。ボイラーの設置業者に連絡するのが最も確実ですが、連絡先がわからない場合は、家を建てたときのハウスメーカーや、賃貸の場合は家主や不動産会社に問い合わせましょう。また、直接ボイラーのメーカーに連絡すれば、修理業者に取り次ぐなどの対応をしてくれるでしょう。
灯油ボイラーの水漏れを放置すると、床が腐るなどのトラブルにつながります。また、水漏れの箇所によっては、漏電や不完全燃焼による一酸化炭素中毒などの危険性も伴います。気付いたら、一刻も早く専門業者に連絡しましょう。
修理するか交換するかは、専門業者に相談のうえ、ボイラーの経年劣化や損傷の程度、修理が必要な箇所や費用などを総合的に判断して決めましょう。
一般的に、灯油ボイラーの寿命は10〜12年と言われています。また、製造から一定期間が経つとメーカーでの部品供給が終了し、修理が難しい場合があります。長年使用している場合は、交換の検討も選択肢のひとつになるでしょう。
修理の費用はどれくらい?
灯油ボイラーの修理費用は、故障箇所や交換する部品の種類によって大きく異なります。一般的に、費用の相場は下記の通りです。
- 外部配管の水漏れ修理: 8,000~25,000円
- 水栓の部品交換や修理: 10,000~20,000円
- 水栓交換費用: 7,000~13,000円
- リモコン交換: 15,000~20,000円
- 電装系の修理: 5,000~45,000円
- 安全装置の修理や交換: 7,500~60,000円
- 配管のパッキンなど部品交換: 5,000~8,000円
この費用はあくまでも目安です。修理費用は、故障の程度や部品の種類、修理する箇所、業者の料金設定などによって大きく変動します。 必ず複数の業者に見積もりを依頼し、比較検討することをおすすめします。
また、灯油ボイラー本体交換は、 150,000〜300,000円と高額になります。まずは耐用年数がきているか確認し、修理が可能か専門業者に相談しましょう。
ボイラーの水漏れで困った時の連絡先と修理依頼の手順
灯油ボイラーから水漏れが発生したら、まずは慌てず、給水バルブを閉めてボイラーへの給水を止めることが大切です。その後、どこから水が漏れているのかをできるだけ詳細に確認し、修理業者への連絡の準備をしましょう。
灯油ボイラーの修理を依頼する際は、以下の順序で連絡先を探すとスムーズです。
- 設置業者: ボイラーを購入した際の保証書に、設置業者の情報が記載されています。まずは、この業者に連絡しましょう。
- ハウスメーカーや不動産会社: 持ち家の場合はハウスメーカーまたは管理会社へ、賃貸住宅の場合は家主や管理会社に問い合わせましょう。
- 近所の専門業者: ボイラー専門業者や水道業者が近くにあれば、直接連絡を取ることも可能です。インターネットで検索したり、地域の業者を紹介するサイトなどを利用すると、探しやすくなります。
- メーカー: 設置業者が分からない場合は、ボイラーのメーカーに直接問い合わせてみましょう。メーカーでは、修理業者を紹介してくれることがあります。
ボイラーが故障したままだと生活に重大な影響が出てしまいますので、水漏れに気づいたら、早めに対応しましょう。
ボイラー修理業者選定のポイント
ボイラー修理業者を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。
- 見積もり:複数の業者に見積もりを依頼し、比較検討しましょう。特に、出張費や作業費用は業者によって大きく異なります。
- 対応エリア:自宅から近い業者を選ぶことで、出張費を抑えることができます。夜間や休日など、緊急時の対応が可能かどうかも確認しましょう。
- 保証期間:万が一、再度不具合が発生した場合に備え、修理後の保証期間を確認しましょう。
- アフターフォロー:修理後のアフターフォロー体制が充実しているか確認しましょう。
- 実績:過去にどのような修理実績があるか、ボイラー修理の専門業者なのかをホームページなどで確認できると安心です。
- 口コミや評判:インターネット上の口コミや評判を参考にしましょう。
ボイラー修理業者を選ぶ際は、対応エリア、保証期間、アフターフォローなどを総合的に判断することが大切です。複数の業者に見積もりを依頼し、比較検討することで、より良い業者を選ぶことができるでしょう。
まとめ
灯油ボイラーの水漏れを発見したら、まずは給水バルブを閉めて止水することが重要です。次に、漏れている箇所を確認し、専門業者に修理を依頼しましょう。特に、10年以上の使用で不具合が見られる場合は、交換も検討しましょう。
ボイラーの故障は、暮らしに大きく関わります。水漏れを放置すると、不完全燃焼が起きて一酸化炭素が発生するなど危険な状態になる場合もあります。早めの対応が二次的な被害を防ぎ、安全な暮らしを守ることにつながるでしょう。
執筆年月日:2024年10月